こんにちは、くまねこです。
今回は、以前読んだ本の中から、特に印象深かった書籍についてふりかえりつつご紹介できればと思います。
書籍の振り返りしようと思った理由として、
本を読むのは良いのですが、その後内容を忘れてしまうことも多々あるので(ポンコツです・・・)。
ブログで振り返りたいなぁ~、と前々から思っていたのですが、今回やっと1冊目書きます。
今回紹介するのは、ずばり「ロジャーズ選集(上)」です。
心理学を勉強している方であれば、「ロジャーズ」と聞いてピンとくるかもしれません。来談者中心療法を創始した、カール・ロジャース大先生です。
カウンセラーなら読んでおいたほうが良い、という観点で、ロジャーズの同僚たちが彼の33個の論文を2冊にまとめたものが、この本の上・下になります。
ロジャーズについて興味があるけど、すべての論文を追っている時間はない・・・という方や、来談者中心療法について、本格的に学んでみたいけど、何から始めようか分からない・・・初学者の方や、臨床への考え方を参考にしたいすべてのカウンセラーさんに、とてもおすすめできる本だなぁ、と読んでみて思います。
ロジャーズの生まれ育ってきた環境や、そのなかで構築された価値観など、
彼自身についてもつづられている、という自伝的な要素があるところも面白いです。
彼自身の哲学や、心理療法への考え方がどのように出来上がっていったのか。
ぼちぼちお付き合いください^^
この本を知ったきっかけ
この本を買ったのは2年ほど前で、大学院を卒業してすぐの夏頃だったと思います。
土曜日にトレーニングジムへ通っていたのですが、そのついでにいつもジュンク堂へ寄ってました。
(今はコロナなので月に1,2回の頻度で本屋さんにいってます。窮屈な世の中になったもんじゃ・・・)
基本的には、その頃くらいから月に1冊くらい心理学系の本を購入して読むということをやってます。
ジュンク堂は、本の種類が豊富なのでいつも買うのに迷ってしまいますが。汗
買いたい本が決まっているときもあるのですが、このときは決まっておらず、ピンときたものを買おうかな~くらいのスタンスでいました。
来談者中心療法にも関心があったため、なんとなく書籍を手に取ってみましたが、見出しをみて、すぐ買うのを決めた記憶があります。
では、その見出しをご紹介してみます。
まずは、見出し。
まずは見出しです。
見出しを読むだけでも、かなり胸熱な内容であることがお分かりになるかと思います・・・(笑)
第一部 私を語る
1 私を語る
2 私の結婚
3 老いること
4 85歳を超えて
第二部
5 より新しいサイコセラピー
6 支持的アプローチ対非指示的アプローチ
7 ハーバート・ブライアンのケース
8 援助関係の特質
9 気持ちのリフレクションと転移
10 クライアント・センタード
第三部 過程のなかの人間
11 症例 エレン・ウエストと孤独
12 価値に対する現代的アプローチ 成熟した人間における価値づけの過程
13 結婚しますか?
第四部 理論と研究
14 ふたつの研究から学んだこと
15 サイコセラピー技術の改善における電気録音面接の利用
16 セラピーによるパーソナリティ変化の必要にして十分な条件
17 クライアント・センタードの枠組みから発展したセラピー、パーソナリティ、人間関係の理論
第一部は、ロジャーズの個人的な価値観、その価値観がつくられた彼の人生がみえるので、とても興味深いです。
第二部、三部は、ロジャーズが提唱する来談者中心療法について、ロジャーズが大切にしていることなど。症例をもとにしながら理解できます。
第四部は、ロジャーズの考えを理論として体系化したものが書かれています。
本当だったら一章ずつ紹介したいくらいなんですが、さすがにその体力がないので(笑)
このなかで、特に印象に残った言葉をピックアップしてご紹介します。
読んだ当初は、ロジャーズの一言一言に、とても感動した覚えがあります・・・。
印象に残った言葉&若干の解説と感想
英語からの翻訳なので、若干難しい文章もありますが。
つたない文章ですが、私の解説もセットで紹介してみます。
★ある内的な非知性的な感覚を信頼するとき、その動きのなかに知恵を見出してきたのである。(中略)私はそれを私の全体経験を信頼することだと考えているが、それは知性よりも賢明なものだと思えるようになった。
→クライアントと接する中で、その瞬間、瞬間、感覚的に「これはよい」と思えるものは、知性よりも有効だと述べている。おそらく、ロジャーズはカウンセリングをしているときに、頭で考えるのではなく、無意識のレベル・研ぎ澄まされた集中のなかで、感覚的に「これは言ってみるとよいかも」と思いついたことを言うことが、最も有効だと言っている。そして、多くの経験が積み重なって、自分自身のなかに秩序(理論体系)ができあがっていくと述べています。
【感想】なんとなくですが、わかる気がします。良いカウンセリングができるときには、あれこれ考えず、ある程度は感覚に任せられているときが多いと思います。
それから、自分自身の体験こそが最も有効な理論(秩序)という言葉もしびれますね。頭でっかちにならないほうが、支援はうまくいくという(態度を特に重要視する)、ロジャーズらしい哲学が感じ取れます。
★現代人の孤独にみられるもうひとつの要素は、私たちが本当に経験していること、つまり真実の自己を他者に伝えられるような、いかなる関係ももっていないということである。つまり意識された表面的な意味とさらに深いレベルの体験過程を伝えることのできる関係をもたないときには、他の人間と真実に接触していないという孤独を感ずるのである。
→これは、孤独感についての記述です。現代人が孤独を感じる理由は、真実の自己を見せられる関係性が無いからだと述べています。
【感想】なんだか、読んでいる私もドキッとした文章でした。偽りでなく、本音で人間関係をつくれることで、孤独感は解消されるというのは、実体験からも納得できます。あとは、クライアントさんのなかでも、表面的な言葉と、本来の感情が分離されている方は多い印象をうけます。
★幼児期には私たちは、自分の経験の中に住んでいる。その経験を信頼している。赤ん坊はお腹がすくと、おなかがすいているかどうか疑ったりしないし、食べ物を求める努力をすべきかどうか自問したりもしない。(中略)しかしある時期において、両親や他人が、「おまえがそんなふうに思うなら可愛がってやらないよ」という意味のことをいうかもしれない。そのとき子どもは、自分が本当に感じていることではなく、感じなければならないことを感ずるようになる。
→重要な他者から取り入れられた価値観によって、「本当に感じていること」を感じられなくなる、という過程について書かれています。
【感想】愛されたいがために、自分の感じていることを押し殺してしまう。それが行き過ぎてしまうと、症状として現れたり、苦しみが現れたり。神経症圏の患者さんを理解するためにも、重要な言葉だと思いました。
★愛を獲得するために、自らの価値づけの過程は放棄されるのである。
→上記の文脈と同様のことを述べています。
★彼女がそうした自分自身の感情を感ずるという権利を受け入れたならば、その他の態度も恐る恐る表現されるようになる。
→感じてはならない、と抑圧していたものを、安全な場所(治療者との関係)で話すことで次第に感じられるようになっていく。治療者と一緒に感じることで、自分の感情を直視できるようになっていき、体験の幅が広がっていく。
★このプロセスにおいて自分自身と友達になれること。つまり自分の体、自分の感情、自分の欲望が敵ではなくて味方であり、自分自身の建設的な部分であることがわかるであろう。もはや彼女は、「自分の本性との闘争のなかで死んでしまう」などという絶望的な言葉を吐く必要もなくなるのである。(中略)また、人間関係においてまったく自己自身であっても危険なことではないとわかるだろう。
→これまでは、「感じてはいけない」と思っている感情を、到底他人にみせることはできなかったが、感じても良いことが分かると、他人にも隠さず真実の自己で接触することができるようになっていく。・・・その結果、孤独でもなくなっていく。
全体としての感想
学校で習うことは、やはり理論が先にくるので、ロジャーズの表面的な部分を理解することにとどまっていたのが現状でした。
ただ、この本を読んでから、なぜロジャーズがこう考えるのか。
彼自身の体験をベースに知ることができたので、より腑に落ちる感覚になりました。
(結婚の話、彼の家庭の話など、あとは症例についての理解の話など。かなり赤裸々に書かれています)
ロジャーズの考え方、個人的に好きです。
かくいう私も、(上)を読んだ段階でかなりお腹いっぱいでして、(下)を読めずにいます。^^;
そろそろ、下を買ってみようかなぁ・・・。
こちらにリンク貼っておきますので、興味のあるかた、ぜひ。
★ロジャース選集(上)↓