こんにちは、くまねこです。
前回、前々回と医療・教育領域の実習についてご紹介してきましたが、今回は、「産業領域」と「司法領域」での実習をまとめて紹介したいと思います。
早いもので、実習編も最後の記事です^^
個人的な印象となりますが、産業・司法においてもこれまで紹介した実習先とは、やや違う臭いがしました…。
それぞれの特色を感じ取りつつ、将来の進路などのご参考などにしていただければと思います。また、心理職を目指してない方も、臨床心理士さんはこのような実習をやるんだ~…という認識でゆるく見ていただけましたら幸いです♪
1.産業領域での実習
それでは早速。
産業領域では、「働く人のメンタルヘルス」にフォーカスしたお仕事になります。
例えば、うつ病などの精神疾患の「予防」だったり、すでに精神疾患を持っている方の「治療」や「社会復帰」だったり・・・。
そのような中で、私たちは「社会復帰」をメインとした病院内にあるリワークプログラムに見学へ行きました。
具体的には、うつ病などの精神疾患を発症した方が、「適切に治療し、職場に復帰するため」のサポートをする場所になります。
そして、それは病院の中に設置されており、病院の中で心理士さんがリワークプログラム(社会復帰のためのプログラム)を行っていきます。
(私たちは行っていないのですが、他にも産業で働く臨床心理士の仕事として「予防」や「ストレスマネジメント」に特化した形で、民間によって運営されている施設などもあります!)
ではでは、以下で具体的にやったことなどを書いていきますので、少しイメージしていただければと思います。
【病院内のリワークプログラム】
ここでは、うつ病になって休職してしまった人を対象に、心理教育や運動プログラムを行いました。
このプログラムでは、治療をする段階を乗り越えた人たちを対象にし「社会復帰に向けて活動量などを高めていく」ということが中心軸となるようです。
なので、治療して終わり!ではなく、お仕事ができるレベルにまで回復してくことが目的となります。
そして私たちがいった実習先では、プログラムの中でも特に「集団認知行動療法」を中心としたサポートを行っていました。
主な内容としては、認知行動療法の集団バージョン(語彙力がないですね…笑)といったイメージでしょうか。
教室に20人ほどの人たちが集まり、それぞれワークシートを記入しながら過去にあった不快な出来事について、整理していきます。
このように集団認知行動療法でも、「ストレスにうまく対処できるようになる考えや行動を身に着けること」を行っていきます。
また、整理するだけではなく、それを発表する場面もあり、自分だけではなく第三者の客観的な観点から、自分の認知の歪みを修正していくというシーンもありました。
個人的な印象としては、社会復帰を目指して取り組んでいるプログラムなので、心理士さんから受講者への評価は、やや辛口でした。
社会復帰をしても通用するストレス耐性を身に着ける為の修行、という感じですかね・・・。
また、過去に直面することは、自分にとってつらかった出来事を思い出すことと同じことなので、泣き出してしまう人もいたことが印象に残っています。
(そういった場面でも、現場の心理士さんは動揺することなく、凛としておられました。)
このような産業領域の中のリワークプログラムでは
治療だけではなく仕事への復帰という側面があるため、受容的な関わりだけでは通用しないな、と感じました・・・。
もちろん、現場の心理士さんも時には厳しく指導するということも行っているようであり、やはり領域によって求められる立場はある程度違うものだなと感じました。
2.司法領域
司法領域の実習は、少年鑑別所の見学のみだったので、その内容を紹介したいと思います。
なかなか入れるような場所でないこともあり、やや緊張感のある実習でしたね^^;
国の施設(法務省)ということもあって、施設内のセキュリティは他の機関と比べて厳重でした。
以下では、実習中に教えて頂いた少年鑑別所の業務内容や、実際に見学した際に感じた雰囲気などをご紹介したいと思います。
★少年鑑別所の業務内容
簡単にですが、そもそも少年鑑別所は何をするところか。
同じ司法の領域として「少年院」などもありますが、
少年院は非行少年の更生を目的としていることに対し、鑑別所は「非行少年の精神状態の判定」のための施設となります。
その精神状態の判定を元に家庭裁判所で審判(罪が決まる)が行われます。
(精神的に異常が認められた際には、病院への入院ということもありえたり、また、少年院に送られたり・・・あとは、その後の支援方針に活かされたりします)
そして、われわれ臨床心理士がやることは、その判定の証拠となる心理検査をとり、アセスメントすることです。
医療の領域などと同様、テストバッテリー(いくつかの心理検査)を用いて行われます。
医療ではあまり使われるイメージのない、TAT(絵カードを見てもらい、物語を作成してもらう)なども用いられているようでした。
★施設見学の感想
部屋は1~2人部屋くらい?のもので、鑑別が行われている際にはそこで暮らしているようでした。
また、ロビーのような場所には、実際に少年鑑別所で行ったHTPテスト(相手に家、木、人の絵を描かせる心理検査)や日記などが置かれているスペースもありました。
特に日記は、少年にとっては1日を振り返り、文章にすることで自分の気持ちの整理をしたりする大切な過程であるそうです。
セラピストにとっては、心理検査では把握できない少年の心の内を考察できるツールになることから、少年鑑別所ももちろんですが少年院でも日記を書く時間が設けられているとのことでした。
司法領域を目指している学生にはたまらない(!?)実習内容でした。
セキュリティが厳重なことから、実際に暮らしている少年と会うことはありませんでしたが、施設の雰囲気や少年たちが作った作品などから、その生活ぶりが伺える内容となっていました。
心理検査とアセスメントの結果が、その後の審判(判決)にも関わってくるので、心理士としての仕事は並大抵の責任ではないな、ということを特に感じました。(もちろん、他の仕事に責任がないわけではないですが^^;)
しかし、非行少年のその後の人生に大きな影響を及ぼす、大切な過程なので、とてもやりがいを感じやすい仕事だとも思います。
以上、産業領域と司法領域の実習紹介でした。
なかなかディープな施設を見学させてもらったなという感じもしますが(笑)
将来の選択肢の幅を広げることにつながったとも感じています。
産業・司法の領域も、今回紹介した限りではなく、他の施設でのお仕事もあるかと思うので、これをきっかけにぜひ調べてみてくださいね^^