くまねこブログ

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【一般向け】カウンセリングはどこで受けるのがよい?【クリニックと私設相談室の違いなど、臨床心理士視点で解説】

投稿日:2023年1月27日 更新日:

こんにちは、くまねこです。

お正月も明けて、だいぶ冷え込んできましたね・・・。

今回は、「カウンセリングはどこで受けるのがよいのか?」というテーマで記事を書いていきたいと思います。

カウンセリングを受けたいと思ったときに、インターネット検索などをしてみると、

医療機関が出てきたり、または私設のカウンセリングルームが出てきたり…と、どこで受けるのが良いのかなぁ?と混乱する方も多いのではないかな、と思います。

また、私自身も心理士をしているなかで、知り合いからそのようなことを聞かれることが増えました。

この記事では、現役臨床心理士の視点で、
クリニックや私設の違いなど挙げながら、カウンセリングルームを選ぶときの視点などを、解説してみようかなと思います。

ただ、これから書くことが、絶対にそうじゃなきゃダメ!ということではないので、一つの視点として参考にしてもらえればうれしいです。

1.そもそも、カウンセリングってどこで受けられる?候補一覧とその概要。

まずは、カウンセリングってそもそもどこで受けることができるのか?
有料のイメージがあるけど、無料で受けることもできるの??などなど。
色々な疑問があると思います。

そこで、まずは種類別に、一覧をあげてみたいと思います。

今回は、大きく①有料で受けられる場所②無料で受けられる場所に分けて書いてみますね。

【①有料のカウンセリング】

■医療機関・・・精神科や心療内科のなかに、医師の診察枠とは別に臨床心理士などによる「カウンセリング」を設けている病院があります。精神科の診察は、システム上10分前後などの短時間で終わることが多いので、じっくり話を聴いてほしい人や心理療法が必要な人には、診察に加えてカウンセリングを行っていくことが提案される場合が多いです。診察では保険適用が可能ですが、カウンセリングは現状保険適用ができません。そのため、自費でカウンセリング費用を支払うことになります(相場としては、30分枠で3000~5000円、60分枠で5000~8000円くらいかなと思います。)

■私設のカウンセリングルーム・・・また、医療機関のほかにもカウンセリングを受ける際によく候補となるのが、臨床心理士が個人や法人で開業しているような、私設のカウンセリングルームです。薬物治療が必要のない方などは、このようなカウンセリングのみ受けられる私設がよく使われるかと思います。相場を見てみると、カウンセリング料金は、カウンセラーの経験の程度などにもよりますが、医療機関よりはやや高めかな?という印象です。ただし医療機関では診察代や薬代もかかったりするので、総額は同じくらいかなとも思います。(相場としては、50~60分で5000~12000円くらいのところが多いかなと思います。)

【②無料で受けられるカウンセリング】

■精神保健福祉センター・・・例えば東京都が運営する精神保健福祉センターは、無料でカウンセリング(相談)を受けることができます。HPを見ると、精神疾患や障害を抱えている場合や、悩みがある方、誰でも、相談をすることができます。まずは電話をして、面接の必要性があれば、対面で面接をすることができるようです。HPには実際の相談事例なども載っていますよ。

■企業内・・・企業内に、専属の産業医や臨床心理士が設置されている会社もあります。対象は限られてしまいますが、その会社の従業員であれば、その場合には、無料でカウンセリングや相談をすることが可能です。

■ハローワーク・・・また、意外に知られていないのが、ハローワークにおける心理カウンセリングです。例えば、東京都のハローワークでは、わかものハローワークを利用中(就職活動中)の方であれば、無料で3回までカウンセリングを受けることができるようです。ただし、就職活動中の方限定となってしまい、回数も3回までなので、心理療法レベルでカウンセリングを受けたい方となると、物足りないかもしれません。

2.それぞれのメリット・デメリットなど

■医療機関・・・医療機関でカウンセリングを受けるメリットとしては、通院中の病院と連携してカウンセリングを受けることができる点です。すでに通院している方であれば、主治医の治療方針に従ってカウンセリングの治療方針を考えてもらいやすいです。また、これから通院を考えている方においても、精神疾患の診断や症状の治療を行いたい場合は薬物療法とも同時並行でカウンセリングができるので「治療」という意味では、安心できる環境だと思います。デメリットとしては、カウンセリングをメインで受けたい方にとっては「診察代」もかかるので、カウンセリング意外の費用が少しかかってしまうことでしょうか。

■私設のカウンセリングルーム・・・次に、私設のカウンセリングルームの場合です。メリットとしては、カウンセリングルームごとの特色がある点や、開業でやっていけるくらい、実力のある熟練セラピストが在籍している傾向にあることではないかと思います。熟練セラピストの場合は、その分料金もやや高めの設定となるかもしれませんが、治療効果を得やすいかもしれません(もちろん、すべてがそうとは限らないと思いますが・・・)。あとは、医療機関に通院中の方でも、私設のカウンセリングルームを利用することができます。その場合には、主治医にあらかじめカウンセリングを受けることを告げておくこと(受けても大丈夫な状態か)や、医療機関に通院していることをカウンセラーに伝えておくこと(医師からの紹介状が必要な場合がほとんどかしら)が必要になります。また、私設のカウンセリングルームのデメリットとしては、先ほども述べたように、やはり料金がやや高めなので、ある程度の経済力が必要になってしまいます。心理療法を受けたいすべての人が経済力があるとは限らないので、その点が難しいところですね。

■精神保健福祉センター・・・精神保健福祉センターでの相談は、なんといっても、無料であることが強みだと思います。相談内容も多岐にわたるので、基本的には対象者の制限がないところも良いですよね。ただし私自身、実際に就職したり相談を受けてみたことがないので、その実態についてはなんとも言えないのですが、経済的に自費でのカウンセリングが難しい場合には、特に検討してみても良いかもしれません。

■企業内・・・企業内でのカウンセリングのメリットは、やはりそこの従業員であれば無料でカウンセリングを受けることができる点です。ただし、デメリットとしては、会社内でカウンセリングを受けることに抵抗のある人が多いのも事実です。個人的には、従業員の特権ですし、どんな些細な悩みでもどんどん利用して良いのではないかと思います。もし、どうしても抵抗がある場合には、医療機関や私設のカウンセリングルームを検討してみても良いのかもしれませんね。

■ハローワーク・・・ハローワークでのカウンセリングのメリットは、やはり無料でカウンセリングを受けられる点と、就職活動時の不安を相談しながら就活できる点ではないかと思います。HPを拝見してみたところ、例えば親に就職をせかされているけど、なかなか決まらないなど、就活中に焦ってしまい、なかなかうまくいかない方も多いようでした。そういった場合に、同時並行で相談できるのは、とても心強い仕組みと思いました。ただし、デメリットもあり、心理カウンセリングが利用できるわかものハローワークではおおむね35歳未満という年齢制限があることや、最大三回までという回数制限があることです。カウンセリングや心理療法といよりも、あくまでも「相談」という形態なのだと思います。

3.結局どこが一番良いの?

さてさて・・・ここまで、
それぞれの機関のメリット・デメリットなどをあげてみました。

ここまで見たところで、

「結局自分はどこへ行けばいいのか・・・?」

と迷ってしまった方もいると思います。

その場合には、以下の視点で少し考えてみると良いかもしれません。

・有料か無料か?・・・経済力がないと、カウンセリングを受けられないというのも事実です。そのため、まず無料の相談を利用してみるのか、有料で継続できそうか、ということを経済的な観点から検討してみるのも良いと思います。

精神疾患や症状がありそうか?・・・精神疾患の疑いがあり、診断や薬物治療が必要な場合には、医療機関にかかったほうが良いかもしれません。そのうえで、主治医と相談し、カウンセリングが必要であれば医療機関内や私設のカウンセリングルーム、精神保健福祉センターでの相談で同時並行で通っていくことも良いと思います。

・実際に行ってみる・・・百聞は一見に如かずという言葉があるように、結局「実際に行ってみること」が最も早かったりもします。実際に行ってみて、カウンセリングを体験してみることや、施設の居心地を体感してみることで、自分に合ったものを探しても良いと思います。

******

以上、今回は「カウンセリングはどこで受ければ良いのか?」ということを臨床心理士視点で解説してみました。近年では、発達障害の知識などが特に広まってきて、精神科やカウンセリングのニーズが高まっています。
ネットにも色々な情報があり、医療機関選び、カウンセリング機関選びは、とても難しいと思います。たかが臨床心理士個人の一意見でしかないですが、この記事が、少しでも参考になれば嬉しいです。

-心理療法, 患者さん・一般向け, 精神疾患

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