くまねこブログ

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患者さん・一般向け 精神疾患 臨床心理士初学者むけ

【見分け方のポイント】うつ病と適応障害の違い

投稿日:2021年9月3日 更新日:

こんにちは、くまねこです。
オリンピックも終わり、しばらくお祭りムードの方もいると思いますが、厳しい社会情勢は相変わらず続いてます・・・。
コロナのなかで、ストレスを思うように発散できず、悶々とした日々を過ごしている方もいるのではないでしょうか。

さてさて。
心の病でよく聞くものといえば、例えば「うつ病」や「適応障害」が、より身近なものになってきています。
ネットなどで情報が集めやすい時代であり、「自分はこの病気じゃなかろうか?」と精神科を訪れる人も多いかと思います。

ただ、症状が似ているだけに区別がつきにくいので、あらためて見分け方のポイントをまとめてみようと思います(ほぼ自分用のまとめです・・・)

1.症状の特徴

まずは基本的なところの確認。

【うつ病】

うつ病は、抑うつ状態や興味・喜びの消失といった症状が2週間以上続くと診断の対象となります。

ほかにも、体重の減少や増加、睡眠障害、集中力の敵あといった様々な身体症状が現れることがあります。

うつ病の場合、1日中気分が落ち込んでいることが多いです(日内変動があり、朝よりも夕方のほうが気分は良いこともあります)。

【適応障害】

適応障害も気分の落ち込みや睡眠障害といった身体不調が起こりますが、うつ病と比べると症状の程度は重くないです。

気分の落ち込みはありますが、楽しいことをすると気分が上がりやすい特徴があります。
また、仕事上では無断欠勤や遅刻といった素行上の問題が起こることがあります。

カンタンにまとめてみると・・・
★うつ病→生物学的・心理・社会など…原因は特定しづらいが、生物学的要素が大きい
★適応障害→環境によるストレスが大きい

複雑な病気ですが、特徴を簡単にまとめてみると上記のようなところがあるか、と思います。

2.発症するきっかけ

さきほど、2つの違いを簡単にまとめてみましたが、少し詳しくみてみます。

うつ病も適応障害も例えば仕事や私生活のストレスなどにより、精神的につらいことが続くと発症しやすくなりますが、うつ病の場合、発症のきっかけは複合的で原因を特定することが難しいのが特徴です。

一方で適応障害の場合、発症のきっかけは直接のストレスで、そのストレスを取り除けば、快方に向かいやすい特徴があります。
このことから、うつ病のほうが適応障害よりも原因の特定や治療が難しくなります。

これらの特徴を踏まえると、うつ病の方が適応障害に比べて重症になりやすいことがわかります。
(うつ病は脳の代謝が変わってしまう。器質的変化が大きいため、薬物療法が効く。というイメージ)

★ただ、どっちが重いかを比較して、じゃあ適応障害は軽いんだから患者自身が大変ではないかと言ったらそうでもないと思います。本人がどう感じているかの問題なので、一概に重症か軽症か、という議論をするのは、ちょっとアレかなぁとも思ったりもします。。。
今回は、2つの違いを分かりやすくとらえるという点で、重症という表現を使わせてもらいましたので、ご了承くださいm(_ _)m

今回、若干短いブログとなりましたが、ちょっとしたお勉強タイムでした。
また次回お会いしましょう~^^/

-患者さん・一般向け, 精神疾患, 臨床心理士初学者むけ

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